吉沢亮、残りの見どころは「衰えない栄一のエネルギー」<青天を衝け>


 また、血洗島を訪れた栄一と喜作の姿に、改めて2人のつながりと関係性に胸が熱くなる場面も。

「2人は光と影のようなところがある」と、黒崎氏。「歴史的には、栄一が光の部分を歩き、喜作は少し影なところを歩いたのかもしれません。でも、2人の中では光と影を入れ替わりながら歩いてきたのだと思います。若い頃は栄一が正論を言うことが多かったですが、年を取ったら栄一を喜作が正してくれるところもありました。2人で1人みたいなところを吉沢さんと高良さんが演じてくれた」

 吉沢も、その血洗島でのシーンが好きだという。

「喜作との印象深いシーンはいろいろありすぎます。一橋に仕官して2人で布団にくるまって酒を飲むシーンだったり、道を違えていくところだとか。40回の血洗島はすごくいいシーンです。どっちが兄貴分で弟分なのか、2人のデコボコな感じが最後まで続いて……喜作と栄一だな、と。僕も好きなシーンです」

 出てこないと寂しい徳川家康もちゃんと登場する。

 黒崎は「最終回まで家康さんには見守ってもらうつもりです」と予告したうえで、「この『青天を衝け』の家康は栄一を好きだと思うんです。イノベーターである栄一さんを応援しているのがにじみ出ていますし、時には息子や孫のように見ている瞬間もあったかもしれません。(語り部というだけではなく)人としての視線を出してくださったのは北大路さんの力だったと思います。家康さんを撮り切った時、吉沢さんも感無量な顔をしていて、肉親に会ったような、再会したようなシーンがスタジオで繰り広げられました。不思議な時空を超えた関係が出来上がったように思いました」 

 もっと見たい、見続けたいと思っても、残りは2回と決まっている。

 改めて見どころを聞くと、吉沢は「何歳になっても衰えない栄一のエネルギー」だという。「終わりに向けてまとめに入るのではなく、最後まで現役で、やりたいことをやって、全然失敗もして。これまでも、年を重ねても、栄一が挑戦し続ける姿がこの作品の肝だと思いますし、それを最後までやりきったと思っています。そういう部分を見ていただきたい」

 12月19日放送の第40回「栄一、海を越えて」では、アメリカで排日の機運が高まるなかで、日米関係を改善しようと栄一と兼子は渡米する。特別列車で全米60の都市を巡り、民間外交に奔走するなかで、伊藤博文(山崎育三郎)が暗殺されたという知らせが飛び込む。慶喜(草彅剛)の伝記の編纂(へんさん)は大詰めを迎えるなかで、栄一は慶喜から意外な言葉を聞かされ……。

『青天を衝け』は、 毎週日曜、NHK総合で20時から、BSプレミアム・BS4Kで18時から放送中。再放送(土曜13時5分~)もある。19日は15分拡大版。