平成中村座が今秋浅草で復活 「とにかくうれしい」中村勘九郎と七之助 宮藤官九郎の新作上演

 

 最新の公演では、宮藤官九郎による『唐茄子屋~不思議国之若旦那~』を上演。落語の『唐茄子屋政談』をベースにした新作歌舞伎で、宮藤によれば「吾妻橋から浅草寺あたりの狭いエリアを、若旦那が右往左往する人情噺」で、『不思議の国のアリス』の要素が加えられ、「誰が観ても楽しめる人情喜劇になるはず」だという。宮藤が新作歌舞伎を手掛けるのは『大江戸りびんぐでっど』以来初となり、平成中村座としては初めての新作歌舞伎公演となる。

 勘九郎は「まだ本はあがっていないんですけれども、唐茄子屋政談、古典落語をベースにした人情喜劇と、今から古典になりそうな予感がします。大事に大事に稽古を重ねて、このコロナ禍に、わざわざ足を運んでくださるお客様に楽しんで帰っていただけるように一生懸命作っていきたいと思います」

 七之助は「(報道陣に配布した)資料に(宮藤の)いろいろ弱気な発言が書いてあります、ほめられたいと(笑)。ほめてあげてくださいな。僕は個人的に、『大江戸りびんぐでっど』は大好きな作品なんですけども、(上演時は)まあ賛否は分かれましたね。なんで今回はね、賛で。全部賛でお願いします(笑)。はい、賛になるように私たち役者も一生懸命努めますのでよろしくお願いします」

 

 公演では、『唐茄子屋~不思議国之若旦那~』をメインに、平成中村座らしく他の作品も上演する。

 七之助は「宮藤さんが中村座で新作を書いてくれる、実はそれ1本で大丈夫なんです。なんですけど、うちの父親は、例えば野田(秀樹)さんの芝居であっても、りびんぐであっても、時代物があって、踊りがあって、芝居という、そういうのにすごくこだわった。新作は素晴らしいものだと思うんですが、宮藤さんだったりの新作を見に来るお客様にも、先人の方々が築きあげてきた古典歌舞伎の魅力が大いに詰まった演目を、こういうのもあるんだよ!というのをメッセージで伝えたいがために、すごくこだわっていました。お客様が見たいもの、そしてこの演目、脚本だったらこういうものがいいんじゃないかなっていうのを、常にお客様目線で考えるということを肝に銘じて決めていきたい」と、語った。