作家・加藤シゲアキ、旧ジャニーズ事務所に「この会社にいる必要があるのか」への答え語る

 

 小説家で人気グループNEWSのメンバー・加藤シゲアキの新刊小説『なれのはて』発売記念会見が24日、都内にて行われ、加藤が執筆のいきさつから、所属する旧ジャニーズ事務所への思いにも触れ、作家としての覚悟を語った。

『なれのはて』(10月25日発売・講談社)は作家・加藤シゲアキが、吉川英治文学新人賞を受賞した『オルタネート』から3年を経て書き下ろした最新長編小説。終戦前夜に起きた日本最後の空襲といわれる秋田・土崎空襲の史実を軸に力強く生き抜こうとする人々の姿を一枚の絵の謎を通じて描く。

「社会的な題材、30代半ばの男性として書きたいもの、読みたいものを形にしたいと挑戦したのがきっかけ」と執筆のいきさつを振り返った加藤。

 もともと広島に生まれた縁で戦争や原爆の話に触れることが多かったと言い「まだ描かれていない戦争があるのではと、母の出身地である秋田にまつわる戦争をネットで調べたところ“土崎空襲”という日本最後の空襲が秋田であったことを知り、調べるうちにこれは自分が書かなければならない、ある種、宿命のようなものを感じました」。

 一方で「戦争を物語化していいのか、しかし書くことによって伝わるものもあるという葛藤があった」という加藤。資料のファクトチェックといった苦労のほか「遺族や被害者の方々がいることなので、その傷をえぐらないように配慮した」と振り返りつつ「文体として配慮しながら戦争の恐ろしさをきちんと描くことが意識し続けたポイント」と明かした。

 性加害問題で揺れる旧ジャニーズ事務所問題について報道陣から質問が上がると加藤は被害者への配慮に重きを置きつつ「自分たちの会社で起きた問題ですから、自分たちが一番厳しい目を向けるべきだと思っています」と語り「作家業として、この会社にいる必要があるのかと思われる方もいるかもしれないが、僕個人としては内側から監視したい。内側から組織を見つめたいし、いつか執筆をする上で自分の中で大きなテーマになる可能性もありますし。おこがましいけれど自浄作用の一端になれれば。それができないのであれば僕はその組織に必要ないと思う」と語っていた。

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