東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンで5月7日から上演される『地獄のオルフェウス』の制作発表会見が25日、Bunkamuraオーチャードホール ビュッフェで開催された。主演を務める大竹しのぶ、三浦春馬、水川あさみ、三田和代、そして演出のフリップ・ブリーンが登壇した。
この作品はテネシー・ウィリアムズが1957年に発表した戯曲で、1940年に初演された『天使のたたかい』を17年かけて改訂したもの。ウィリアムズが作家生命をかけて書いた自信作ともいわれている。
物語の舞台は偏見と慣習にとらわれた小さなコミュニティー。愛のない結婚をし、淡々と日常を過ごしている女のレイディの前に青年ヴァルが現れる。やがてヴァルが放つ違和感はコミュニティーの中に波紋のように広がって、レイディをはじめとした人々の欲望を触発していく。
自由な心が暴力的な抑圧に踏みにじられていく過程が濃密な感情の行き交いの中で描かれる問題作だ。
レイディを演じるのは『欲望という名の電車』で紀伊国屋演劇大賞を受賞して以来のウィリアムズ作品への出演となる大竹。「絶対面白くなるという予感がします。見ている人が刺激的な一夜を過ごせるような、劇場から出たときに心地よい疲労感が残るような芝居を作りたい。明日は日常に戻っていくにしても、劇場というものは本来そういう空間であるということをみんなに伝えることができたら、と思います」。
今回ストレートプレイが初めてとなる三浦はやや緊張の面持ち。「1カ月間、諸先輩たちの中で素晴らしい戯曲と自分とも向き合える機会をいただけたことをうれしく思っています。こんな機会は一生の中であるかないかのことだと思っているので、稽古に入って一瞬一瞬を大切に過ごしていければと思っています」とそれぞれ語った。
ニュースカテゴリーの記事一覧
高畑充希&城田優、シンデレラと王子になってデュエット
ディズニー映画『シンデレラ』のイベントが24日、都内にて行われ、日本語吹替え版で声を務めた俳優の高畑充希と城田優が、それぞれシンデレラと王子の衣装で登場。日本版エンドソング『夢はひそかに(Duet version)』を生歌でデュエットした。
同曲はディズニーの名曲に各国版の歌詞がつけられたもの。オリジナルはシンデレラ1人で歌うが、日本語版のみデュエット曲となっている。「せっかく例外を認めてもらったので、デュエットならではのハーモニーを生かしたかった」という2人。高畑は「2人でハモるところは目を見合わせて歌いたいと自分たちから希望を出したんですが、実際にやってみると想像以上に恥ずかしくて照れてしまいました」と振り返り、城田も照れつつ「でもお互いミュージカルをやっていることもあってか、思った以上にすっと気持ちが入りました」と出来栄えに自信。
歌う前はかなり緊張していたという2人。しかしいざ歌い始めると、シンデレラと王子になりきって、見事な美声で会場を酔わせた。
『シンデレラ』は4月25日公開。
釈由美子が完璧ボディーの女暗殺者に!
女優・釈由美子が『修羅雪姫』以来、14年ぶりの本格アクション映画で主演を務める映画『KIRI―「職業・殺し屋。」外伝―』の公開が決定した。
西川秀明のバイオレンス漫画『職業・殺し屋。』を原案に、数々の特撮・アクション作品を手掛けてきた坂本浩一監督がメガホンをとる。釈が演じるのは、復讐のため謎の殺し屋を追う孤高の女暗殺者という役どころ。
釈は「14年ぶりの本格アクション映画なのでやり甲斐を感じました」とコメント。釈が長年続けている古武道の経験も生かされたもよう。釈の完璧なプロポーションから繰り出されるアクションシーンに期待大だ。
『KIRI―「職業・殺し屋。」外伝―』は6月20日より池袋HUMAXシネマズほかにて公開。
(C)2015東映ビデオ/エクセレントフィルムズ
『イニシエーション・ラブ』ゲスト登壇完成披露試写会に10組20名
甘く切ない、一見純粋なラブストーリーが、最後の2行で驚愕のミステリーへと変貌する…そんな独創性が話題を呼んだ乾くるみの大ヒット小説が、松田翔太と前田敦子という豪華なキャストを迎えて映画化。映像化不可能と言われた原作に挑むのは『20世紀少年』『TRICK』『SPEC』の堤幸彦監督。新たな映像的ギミックを仕込み、原作とは異なる衝撃のエンディングを用意。映画最後の5分に待ち受ける、これまでのラブストーリーの常識を覆す衝撃のラストシーンをお楽しみに。
Side-A:1980年代後半、バブル最盛期の静岡。就職活動中の大学生・鈴木は、友人に誘われた合コンで、歯科助手のマユと運命的な出会いを果たす。奥手で恋愛経験がなかった鈴木だが、マユと出会い彼女に釣り合う男性になろうと自分を磨く決意をする。
Side-B:就職した鈴木は東京本社に転勤となり静岡にマユを置いて上京。マユに会うため東京と静岡を行き来していたが東京本社の同僚・美弥子の存在に心揺れ始め…。
今回は、松田翔太、前田敦子、木村文乃、堤幸彦監督が登壇予定の完成披露試写会にご招待。映画は5月23日より全国東宝系にて公開。
『王妃の館』試写会に15組30名
原作者・浅田次郎のベストセラーが奇跡の映画化! 個性派ぞろいのツアー客が巻き起こす予測不可能なストーリーに笑って泣ける、大人のための極上エンターテインメント。中でも強烈な存在感を放つのが、水谷豊が演じる主人公の天才小説家・北白川右京。インパクト満点の風貌だが、ときに流暢なフランス語を操りながらエレガントに、問題を抱えるツアー客たちを導いていく。もともと幅広い演技で知られる水谷だが、本作ではかつてない喜劇役者っぷりを披露しているのにも注目だ。他、田中麗奈、吹石一恵、石橋蓮司、安田成美、石丸幹二ら豪華な面々が集結。
撮影は22日間に及ぶ現地ロケを敢行。メインの舞台となる館はもちろんパリの街並みまで、歴史と気品にあふれたパリの魅力を余すところなく収めたゴージャスな映像も大きな見どころだ。
パリの最高級ホテル・王妃の館(シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ)に宿泊する豪華ツアー『憧れのシャトー・ドゥ・ラ・レーヌに泊まる10日間の旅』。ところがそれは倒産寸前の旅行会社が企画した詐欺まがいのツアーだった…。4月25日より全国公開。
『ビリギャル』試写会に30組60名
2014年、年間ベストセラー第4位に輝いた「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」が、人気沸騰中の女優・有村架純を主演に迎えて映画化。ドラマ「あまちゃん」ではみずみずしい好演で話題を呼んだ彼女が“金髪”“ミニスカ”姿で成績とともに成長してく主人公を演じる。
金髪ギャルの高校2年生・さやかは、中学入学以来まったく勉強をしなかったため、成績は学年ビリ。学習塾に通うことになるさやかだが、金髪・ヘソ出し・超ミニスカでギャルメイクというさやかに、塾講師の坪田もびっくり。しかも彼女は「聖徳太子」を「せいとくたこ」と読み、東西南北も地球が丸いことも知らない始末。坪田との運命の出会いから“慶應義塾大学現役合格”という無謀ともいえる目標に挑戦することになったさやか。坪田のユニークな人柄と指導により一心不乱に勉強に励む姿に周囲も変わり始める…。
5月1日(金)より全国公開。
長編映画初主演『新選組オブ・ザ・デッド』でサムライゾンビを熱演 日村勇紀(バナナマン)
バナナマンの日村勇紀主演のゾンビ時代劇『新選組オブ・ザ・デッド』が公開。幕末、突如として現れたゾンビと新選組が京都の町で壮絶バトルを繰り広げる。長編映画初主演でゾンビに転生する新選組隊士を演じた日村が意気込みと野望(?)を語る。
『リーガルハイ』コンビ×オールスターキャスト!『エイプリルフールズ』
大ヒットドラマ『リーガルハイ』シリーズを手掛けた脚本家・古沢良太&監督・石川淳一の黄金コンビが、完全オリジナルストーリーを引っ提げて映画界に進出! 「映画館でしか見られないエンタテインメントを」をモットーに、総勢27名もの超豪華キャストを揃え、空前絶後、抱腹絶倒、感動必至のエンタメ超大作を放つ。
古沢は、これまで映画『キサラギ』、ドラマ『相棒』シリーズなど数々の作品で類まれなストーリーテラーぶりを発揮し今や日本の映画、ドラマに欠かせない脚本家。本作は、そんな古沢が構想7年をかけて紡ぎあげたオリジナル脚本の映画化。一つのシチュエーションの中に多数の個性的なキャラクターが登場し、複数のエピソードが同時に進行。それぞれが複雑に絡み合い、誰も予想できない結末へと突き進む。ストーリー展開から会話劇の面白さまで、まさに古沢ワールド全開。『リーガルハイ』シリーズの相棒・石川監督とのコンビ感も健在だ。
戸田恵梨香、松坂桃李をはじめとする、日本映画界のオールスターも豪華絢爛。戸田は対人恐怖症の清掃員、松坂はセックス依存症の天才外科医と、豪華俳優たちが超個性的なキャラクターを演じているのも見どころ。
“嘘をついていい”エイプリルフールに、気軽についた嘘がさまざまな人々の運命を交錯させながら、思わぬ大騒動へと発展。映画館で思いっきり満喫したいエンターテインメント。
今週のオススメMOVIE 2015.3.23〜
『ナイト ミュージアム / エジプト王の秘密』
NYのアメリカ自然史博物館の展示物たちに突然異常が発生。魔法の石版に何かが起きたと知ったラリーは彼らを救うため大英博物館に乗り込むが、そこでも展示物が動き回り大騒動となってしまう。
監督:ショーン・レヴィ 出演:ベン・スティラー、ロビン・ウィリアムズ他/1時間37分/20世紀フォックス配給/TOHOシネマズ 日劇他にて公開中 http://www.foxmovies-jp.com/nm-3/
©2014 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
『映画 暗殺教室 』
有名中学の落ちこぼれクラス、3年E組に担任教師として現れたのは、どうみても人間ではない謎の生物、通称“殺せんせー”。地球を救うため、高額報酬のため、E組の生徒たちは“殺せんせー”の暗殺を試みるが…。
監督:羽住英一郎 出演:山田涼介、椎名桔平他/1時間50分/東宝配給/TOHOシネマズ日本橋他にて公開 http://www.ansatsu-movie.com/
©2015 フジテレビジョン 集英社 ジェイ・ストーム 東宝 ROBOT
©松井優征/集英社
『陽だまりハウスでマラソンを』
メルボルン・オリンピックのマラソン金メダリスト・パウルは夫婦で老人ホームに入居。しかし元気なパウルは施設の日々にうんざりしマラソン大会出場を決意。彼の熱意に周囲も変わり始める。しかし大会目前に妻が倒れてしまい…。
監督:キリアン・リートホーフ 出演:ディーター・ハラーフォルデン他/1時間45分/アルバトロス・フィルム配給/ヒューマントラストシネマ有楽町他にて公開中 http://hidamarihausu.com/
©2013 Neue Schonhauser Filmproduktion, Universum Film, ARRI Film & TV
『カフェ・ド・フロール』
1960年代のパリ。美容師のジャクリーヌは女手ひとつで障害を持つ息子を健常者の子と同じように育てていたが…。現代のモントリオール。人気DJ・アントワーヌは順風満帆な日々を送っていたが元妻はまだ離婚から立ち直れず…。時代も場所も異なる物語に隠された愛の奇跡とは?
監督:ジャン=マルク・ヴァレ 出演:ヴァネッサ・パラディ他/2時間/ファインフィルムズ配給/3月28日よりYEBISU GARDEN CINEMA他にて公開 http://www.finefilms.co.jp/cafe/ R15+
©2011 Productions Cafe de Flore inc. / Monkey Pack Films
『ジュピター』
偉業を成し遂げる星のもとに生まれたはずが、日々仕事に追われるジュピター。ある日何者かに襲撃されたところを屈強な戦士・ケインに救われ、自分が宇宙最大の王朝の王族だと知らされる。
監督:アンディ&ラナ・ウォシャウスキー 出演:チャニング・テイタム他/2時間7分/ワーナー・ブラザース映画配給/3月28日より丸の内ピカデリー他にて公開 www.jupitermovie.jp
©2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND VILLAGE ROADSHOW FILMS(BVI)LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
『間奏曲はパリで』
フランス北東部・ノルマンディーで夫と農場を営む主婦・ブリジット。穏やかだが平凡な日々、変化に無関心な夫にうんざりしていたある日、隣家のパーティーで出会った魅力的なパリジャン・スタンに刺激され、人生を変える休日へ出かける。
監督:マルク・フィトゥシ 出演:イザベル・ユペール他/1時間39分/KADOKAWA配給/4月4日より角川シネマ有楽町他にて公開 http://kansoukyoku-paris.jp/
©2014, Avenue B et Vito Films, Tous droits reserves.
『傷だらけのふたり』
高利の金融会社の部長・テイルは粗暴だが情にもろい一面もあるチンピラ。ある日、昏睡状態の男のもとに借金の取り立てに行き、娘のホジョンに恋をしてしまう。そこで1日1時間デートすれば借金を帳消しにするともちかけ…。
監督:ハン・ドンウク 出演:ファン・ジョンミン、ハン・ヘジン他/2時間/アルシネテラン配給/4月4日よりシネマート新宿他にて公開 http://www.alcine-terran.com/maninlove/
©2013 NEXT ENTERTAINMENT WORLD Inc. & SANAI PICTURES Co. Ltd. All Rights Reserved.
『パレードへようこそ』
1984年、不況に揺れるイギリス。ロンドンに暮らすマークは炭鉱閉鎖に抗議する労働者を支えるためゲイ仲間たちと募金活動をしようと思いつく。偏見を持つ人もいる一方で、炭坑の町の人々は戸惑いながらも彼らを受け入れるが…。
監督:マシュー・ウォーチャス 出演:ビル・ナイ他/2時間1分/セテラ・インターナショナル配給/4月4日よりシネスイッチ銀座他にて公開 http://www.cetera.co.jp/pride/
©PATHE PRODUCTIONS LIMITED. BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE 2014. ALL RIGHTS RESERVED.
2015シーズン開幕直前特集 やっぱり、プロ野球は熱い
独占対談 松本秀夫アナ × 江本孟紀氏 前篇
3月27日からプロ野球が開幕する。巨人のセ・リーグ4連覇はなるのか? 工藤新監督を迎えたソフトバンクはどんな野球を見せるのか? 二刀流の大谷は?広島に復帰した黒田はどこまで活躍できるのか? そして“カープ女子”“カープ芸人”といった世間を巻き込んだムーブメントも気になる。開幕を直前に控え、ニッポン放送「ショウアップナイター」の名コンビ、解説者の江本孟紀氏と実況の松本秀夫アナウンサーが今季のプロ野球を語る!
2015シーズン開幕直前特集 やっぱり、プロ野球は熱い
独占対談 松本秀夫アナ × 江本孟紀氏 後篇
——パ・リーグはどうでしょう?
江本「1位はソフトバンク、2位がオリックス、そして日本ハム。日本ハムも普通Aクラスに予想しちゃいけないんですけど。そして4位は楽天。これは…デーブ大久保との関係があるんで(笑)」
松本「必ずなんかちょこっと入りますね」
江本「うん、ちょこっと入る(笑)。5位が西武、6位がロッテ」
松本「ロッテは…やはりそうなっちゃいますよね」
江本「ただし、ここは2強4弱で、3位以下は分からないです。パ・リーグがいい加減なのは、リーグ優勝したり日本一になったりした翌年に最下位になったりする。ここ最近で3チームあるんですけどね。こういういい加減な野球をするので予想がしづらいんです」
——いい加減な野球というのは?
江本「打って投げて走るだけだから。つまり選手任せ。選手が良ければ勝つし、ダメだったら最下位、みたいな野球。楽天がいい例でしょ」
——田中が抜けた後にちゃんと補強しない球団が悪い?
江本「補強はしましたけど、それがとんでもない補強だった。田中のマー君がいなくても、育てればいいわけです。補強で済ませるのなら、別に70〜80人も選手はいらないじゃないですか。みんなそこを勘違いしているんです。巨人も補強をしなかったというけど、当たり前ですよ。2億、3億稼いでいる選手がゴロゴロいて、何を補強するんだって。お前らが働けば普通に優勝するじゃないかっていうことです。みんな勘違いしているんですよ。それだったら監督は要りませんもん。松本さんでもできますよ」
——では12球団の中で一番いい監督ってどなたですか?
江本「そりゃ巨人の原監督でしょ。年俸の高い選手を扱うチームというのは難しいんですよ。みんな調子が良かったらいいんだけど、不振になった時が問題。去年は100通り以上オーダーを組み直したでしょ。原監督以外の監督だったら多分、オーダーをいじれないです。選手のほうが偉いから。そうすると泥沼に入っていって、去年なんて恐らく最下位だったんじゃないですか」
——原監督の監督力はすごいんですね。
江本「今の12球団では図抜けてますよ」
松本「誰かに気を使うということがないですよね」
江本「全くしない。ばっさばっさいきますから。4番でも次の日に7番にしたり。師匠がいいんですよね。お父さんもいいんですが、藤田元司さんのような自分に影響を与えた人のことが頭に入っている。珍しいですよ、ああいうスターだった人がそういうふうに野球を吸収するのは」
——巨人は戦力が揃っているから強いなんて言う人もいますが…。
江本「そういうことを言うのはしょせん素人です。それだったらオリックスとかはとっくに優勝してないといけない。たくさん補強していますから。補強というのは、補うだけですからね。補うところがないとダメなんですよ。別に補わなくてもいいところを補強する必要はないんですよ。それと正反対なのが、あれだけの選手がいるのに優勝できない阪神。選手に気を使い、何も動けない。ずっと選手任せで固唾を飲んで見守るしかない。そういう監督」
——阪神って暗黒期が長くて、野村、星野両監督で立て直して優勝して、その後それなりに順調にも思えるのですが、最近またそういう感じなんですか?
江本「正確にいうと、野村さんは3年連続最下位ですから。チームとしては最悪だった。星野さんが3年契約できて、その1年目は4位だった。3年でだんだん上がっていけばいいなって思っていたのに、2年目で急に優勝しちゃったんで、星野さんも慌ててやめたんですね(笑)」
——慌ててやめた?
江本「そうなんです。慌ててやめたんです。“あ〜こりゃいけねえ”って。それは多分、野村監督の3年の暗黒時代が実を結んだんじゃないかって言われています。そのあとに岡田監督でも優勝しましたよね。2人の影響力が、じわじわとチームに浸透していたんでしょう。野村という人と星野という人は、“絶対に俺が球界の一番や二番だ”と思ってやっていたわけでしょ。これがチームに対していい影響を与えるんです。“うちの大将は偉い。長嶋さんのこともボロクソに言う”ってなると安心するじゃないですか。そういう精神的な強さ、“自信持って野球せい”みたいなことを植え付けた。それは野村さんがヤクルトの監督をやったときもそう。楽天でもそうです。ただし一発芸だから続かない(笑)」
松本「猫だましじゃないですか(笑)」
江本「星野さんは監督やってる年数は相当長いんですが、連覇はないしね。日本一は最後に楽天でなったけど、翌年は最下位でしょ。最下位のこと誰も言わないもんね」
松本「これを言えるのは江本さんしかいないですよね」
江本「なんで最下位になったかちゃんと検証しないとね。でも楽天はそれでも自信がついたじゃないですか。かつての阪神と一緒ですよ。ところがそれ以降、阪神はね。あの2人は曲者で球団としても扱いにくかった。だからやっとチームも強くなったし扱いやすい監督にしようってことで、真弓とか和田とかにしちゃった。見かけはいいですよ。阪神沿線にポスター張ったら“男前やー”っておばちゃんが見に来て喜んでる。でもそれをやっちゃダメなんですよ」
松本「選手ににらみが利かなくなっているんですね」
江本「間違いなく、選手は監督より自分のほうがえらいと思っていますから。星野さんとか野村さんだとちょっといくらなんでも、“あんたより俺のほうが偉い”とは言えないけど、弱そうな監督になったら、なめる癖があるんですよ」
松本「新聞も阪神の場合はちょっと負けるとすぐストーブリーグが始まりますから。選手の悪口は書かないですけど、監督はボロクソ書かれるじゃないですか」
江本「そういうところに立たされる精神力がないといけないんです」
——今までみたいな話ってなぜ江本さんしか言えないんですか?
江本「僕は、グラウンドに行くから。悪口言っても次の日にはそのへんでうろうろしていますから。これはコツです。野球界には暗黙のルールがあるんです。グラウンドに降りて来ない解説者がボロクソに言うとみんな反発する」
松本「見てもいないくせにって」
江本「見てもというか、“グラウンドに降りてこないくせに何言ってるんだよ”って。だから私は一番最初にグラウンドに行くんです。放送席は一番最後。放送席で初めて会うディレクターは今来た、と思っているんです」
松本「(笑)江本さんはケージの後ろにいらっしゃいますから。周りは若手ばかりなんですよ」
江本「ずーっとはいないんですよ。一発芸でガッといって」
松本「必ず監督のところには行かれて」
江本「でも選手とは喋らないです。情が入るから。やっぱり喋ったり挨拶したりすると僕も言いにくいんですよ。人間がもともといいから(笑)」
——大久保監督とか中畑監督とか。
江本「ああいうのに弱いんですよ」
——放送の前にアナウンサーと2人で打ち合わせなんて…。
江本「したことない。放送席で初めて会う感じです」
松本「打ち合わせしてもその通りには決してならないですから」
——すっと放送に入れるものなんですか?
松本「そうですね…」
江本「優勝争いしているとか開幕だとか、ちょっと全体の波があるときには全体のテンションで行くという…。でもそれは打ち合わせしなくても空気でそうなっていますから」