東京医科大卒の医者の腕前は…? 一般入試で裏口入学に女子減点

8月3日、東京医大の「女子減点」 に大学前で抗議デモが起こった(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 東京医科大学が不祥事続きで揺れている。

 まずは7月5日、文部科学省の私立大学支援事業をめぐる汚職事件で、受託収賄容疑で逮捕された前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者(58)に支援対象校の選定で便宜を図ってもらえるように依頼したのが東京医科大の臼井正彦理事長(77)であることが発覚した。

 佐野容疑者は文科省官房長だった昨年5月、文科省の「私立大学研究ブランディング事業」の対象校に選定してほしいという依頼を受け、その見返りとして今年2月、同大を受験した息子を合格させてもらった疑いで逮捕されているのだが、鈴木衛学長(69)もこの入学試験の不正に関与していたという。

 6日には臼井氏と鈴木氏が辞任。2人は7月24日に贈賄罪で在宅起訴された。

 この問題がひと段落着いたと思いきや、今度は8月2日には医学部医学科の一般入試で、女子受験生の点数に係数をかけて一律に減点するなどして合格者を全体の3割程度に抑制していたことが発覚する。募集要項には男女別の定員は定められておらず、平成23年ごろから受験生に説明のないまま行われていたという。入試で性別を理由とした恣意的な得点操作が行われていたことが明らかになるのは極めて異例なこと。

7月6日、文科省前局長汚職事件で会見する行岡哲男常務理事(写真:ワードリーフ/アフロ)

 これは同大出身の女性医師が結婚や出産で離職し、系列病院の医師が不足する恐れを考慮した措置だったという。

 7日には経緯などを取りまとめた報告書が公表され、今年と昨年に実施した一般入試1次試験で不正に加点したのは19人に上り、前理事長の臼井被告と前学長の鈴木被告が主導したと認定した。

 手口としては受験生全員の点数に「0.8」をかけ、男子の場合、減点後に現役と1〜2浪の受験生に一律20点、3浪には10点を加算。女子と4浪以上の男子には点を与えないというもの。

 報告書ではこの事象については「募集要項に何ら記載がない不正なもの」とし、「女性差別の何物でもない」「受験生への背信行為」などと明記した。