“シニア男性に新しい居場所を作り出す” 『男のセカンドライフ大学校』に学ぶ地域創生のヒント

「落語と利き酒」「スタバ直伝 美味しいコーヒーの淹れ方」「魅惑の……ミステリーツアー」、そして本日行われているのは、ライオン株式会社が共催する特別講座「奥さんも驚く!? “お洗濯セミナー”」。
 
 30人ほどの60~70代男性が集い、「泥汚れって先に水で洗っちゃダメなの!? へぇ~知らなかった!」、「マジックの汚れも落ちちゃうの!? 最近の洗剤ってすごいんだな……」などなど、楽しそうに談笑しながら洗濯を学んでいる。一体、この不思議な空間は何なんだ!?

洗濯や洗剤に興味津々のシニア男性たち。知的探求心は衰え知らず
「定年すると多くの男性は家庭しか居場所がなくなります。仲間作りや地域活動などを通じて、地域における所属の場を獲得し、今後の生き方のヒントを見つけてほしいという思いから、このような機会を設けました」

 そう説明するのは、横浜市港南区社会福祉協議会。ズバリ、その名も『男のセカンドライフ大学校』。定年後の60代シニア男性を対象に、新しい活動のきっかけを作り出す事業として、社会福祉協議会、港南区内地域ケアプラザ、港南区役所(後援)が手掛けている。

 単発でこのようなイベントを展開する自治体は少なくないが、横浜市港南区社会福祉協議会は平成17年度から『男のセカンドライフ大学校』をスタート。以来、現在にいたるまで年5~7回、冒頭で紹介したようなさまざまな講座を提供し続けている。興味深いのは、平成26年度からは卒業後も継続して参加者たちをフォローアップしている点。今回行われている「奥さんも驚く!? “お洗濯セミナー”」は、卒業生を対象にした特別講座。つまり、その年に入学したシニア男性に提供するレギュラー講座に加え、イレギュラーで特別講座も定期開催しているというから、本腰を据えていることが伺える。実は、これには理由がある。

「地域の問題の一つに、自治会や町内会の役員の担い手がいないということが挙げられます。地域のコミュニティに参加したことがないシニア男性が圧倒的に多いため、「ハードルが高すぎる」と敬遠してしまうんですね。『男のセカンドライフ大学校』は、地域デビューをしてもらう入口でもあります。地域に貢献するやりがいを感じることが、自治会や町内会への参加につながりますから継続性が大事です」(横浜市港南区社会福祉協議会、以下同)

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