「今こそ、日本の食が“本当の文化”となるチャンス」農水省で研究ワーキング実施


 小山氏は「僕は以前から日本に“食のミュージアム”のようなものがあったらいいと考えています」と、日本の食をさまざまな視点で伝えるミュージアムを作るというアイデアを紹介。ミラノ万博に携わったブランドプロデューサーの柴田陽子氏は「海外から見ても日本は、食や食材のおいしい国という認識がなされているのは間違いない。ミラノ万博でも日本館は連日行列ができ、アンケートでも高評価だった。海外の人や子どもたちも日本の食にふれ、その魅力を感じることができる場は有意義では」と話し、出席者たちの間からは「IR(統合リゾート)の中にそういう場所があってもいい」「大阪・関西万博も控えているが、万博だけでおわってしまうのではなく常設になれば」など、アイデアが広がった。

 辻調グループの辻芳樹代表は、日本の食の魅力を広めるだけでなく、課題にも目を向ける必要がある、とし「料理人の現場は厳しく、若者があこがれるようなロールモデルも少ない。海外労働者を呼び込むとしても、彼らを狙う悪質な仲介業者も多い。地方は疲弊しており、長期的にみると、若者が地元の食文化を地産地消で担えるようになることが重要」と話した。村田氏も「食は単独では成立しない。畳やスダレといった伝統産業も危機に陥っている。皿の中のことだけみていればいいというのは、日本食を語るうえでふさわしくないこと」と、さまざまなものと結びついている日本食の文化性に言及した。