グループでのパフォーマンス卒業のEXILE ATSUSHI、EXILE HIROと語る【CL配信対談抜粋】

2001年に加入して以来、不動のヴォーカリストとしてEXILEをけん引してきた、EXILE ATSUSHI。強さの中に際立つ、聞くものを優しく包み込む温かな歌声は、多くのファンの心をふるわせてきた。そんな稀代のヴォーカリスト・EXILE ATSUSHIが、このたび大事な決断をした。偉大な先輩であり兄貴分であるEXILE HIROに語ったこととは。

ーー今回、ATSUSHIさんは大きな決断をされましたが、心境はいかがですか?

EXILE ATSUSHI(以下、ATSUSHI):HIROさんが2013年に勇退されてから、2015年にはまっちゃん(松本利夫)、うっさん(EXILE ÜSA)、マキさん(EXILE MAKIDAI)が勇退されて、今回自分も同じような形をとらせていただくと言いますか。今後もEXILE、そしてLDHのメンバーであるということは変わらず、EXILE ATSUSHIとして活動は続けていきますが、グループでのパフォーマンスという意味では一度退き、卒業という形をとらせていただくことになりました。グループでの活動と並行してソロ活動をさせていただいていたときはファンの皆さんへの感謝の気持ちはもちろん、HIROさんやメンバー、会社へのリスペクトの気持ちをもちながらやってきました。しかし多くのアーティストが感じていることと思いますが、コロナの影響で活動を制限されて、思うようなクリエーションができなくなりました。一人で考える時間が増えたことで自分の人生を振り返り、アーティストである前に一人の人間として力の限界みたいなものを感じました。40歳という節目を迎えて今後どう生きていこうかと真剣に考え、自分自身と向き合った結果、HIROさんと話し合いをさせていただくなかで、今回このような決断をさせていただきました。

EXILE HIRO(以下、HIRO):自分としては、20年間本当にお疲れさまですという気持ちと、改めてこれからもよろしくお願いしますという気持ちです。ATSUSHIとは、いろいろなことを共に乗り越えてきましたし、日頃からコミュニケーションをとっているので、ATSUSHIから話がしたいと聞いたときにはそういうことだろう(卒業)とすぐにわかりました。

ファンの皆さんはもちろん、ATSUSHIに対して、EXILEに対してたくさんの思い出のある方は寂しく感じることと思います。しかし、グループの卒業は自分も経験していますが、今回の決断はATSUSHIにとってのEXILEの背負い方が変わるということであり、新たな夢に向かってこれからもEXILE ATSUSHIとして“EXILE道”を極めていくということには変わりはありません。そして、これがEXILEの在り方であり、ATSUSHI含めて僕も他のメンバーも今後のEXILEにとってプラスになると思っています。僕としては、これからもATSUSHIと共に歩んでいきたいですし、もちろん同じ夢に向かって頑張っていきたいと思っています。まっちゃん、うっさん、MAKIDAIが、ATSUSHIのライブでパフォーマンスをしたように、時がくればATSUSHIもまた、現EXILEメンバーとパフォーマンスをすることもあるでしょうし、いろいろな可能性がEXILEのエンタテインメントには必ずある…。

それがEXILEの在り方だと思いますので、ファンの皆さん応援してくれている皆さんには前に進むための決断だと捉えていただけたら嬉しいです。

ATSUSHI:HIROさんがおっしゃる通り、皆さんが尊敬する先輩であり、大好きな仲間であることに変わりがない以上、また一緒にパフォーマンスをさせていただく可能性も残されていると思います。ただ自分的には20年間の活動でできなかったことを含めて、個人的な夢を実現させるには、40代が挑戦できる最後の年齢なのかなということも含めて、一歩前に進むために決意しました。

HIRO:ATSUSHIから「40代」、「最後」という言葉を聞いたときに一番腑に落ちたというか、「そうだよね」と心の底から思いました。「40代」「最後」未来をイメージした時に今の勢いのまま新しいことに挑戦できる。言い方は悪いですが、ATSUSHIの夢に対してチャンスをものにできる最後のタイミングなのかなと…。自分が50代になって、今改めて40代を振り返ると同じように感じますし、これがすごく良い決断だったと、後々振り返ったときに感じることができるんだろうなと…。

ただ、一つだけ残念なのが、コロナ禍の影響で今回の卒業をファンの皆さんと一緒にお祝いできなかったことです。突然卒業を発表しているようにも思われるかもしれませんが、ライブを含めて様々なエンタテインメントを用意する計画もありました。

しかし、今の状況下ではATSUSHI自身、なかなか新たなスタートも切れませんし、今回ばかりは自分たちだけでなく、世界中が直面している、どうすることもできない問題なので、ファンの皆さんへのごあいさつとしては少し寂しくなってしまったようにも思います。

その分ATSUSHIはもちろん、自分たちの思いは、今後パフォーマンスでお見せしたいと思います。

ーー一人のアーティストとして活動するEXILE ATSUHIが描く、今後のヴィジョンとは。

ATSUSHI:今までは若さと気合を武器に、かなりハードなスケジュールで活動をしてきたので、自然に触れたり、人と交流をして温かみを感じたりしながら、ゆっくりしながら今後のことを考えたいです。今は次のステージに進むための環境作りが、自分にとって必要な時間だと思っています。今は年齢的に折り返し地点と言いますか、単純に計算をして、60歳までツアーをやれたとしてもあと20回しかできません。そう考えると、その20回をどんな内容にするのかということも計画性を持って活動していきたいです。またこのコロナ禍の影響で話が途中でストップしていますが、海外進出の話もあるので、それも進めていきたいです。あと歌手としての50歳、今から10年後、自分の中でひとつ夢があって、それはピアノ一本で2時間のステージを成立させることです。「Choo Choo TRAIN」でも「ki.mi.ni.mu.chu」でも、ピアノ一本で全国のホールやアリーナなど、どこでもいいので披露させていただける場所で、お客さんと僕とピアノだけの空間でライブを作りたいです。そのための準備も必要ですし、50代以降の自分の人生を考えたとき、今のこのタイミングがベストな選択だったと思います。

HIRO:今ATSUSHIが言ったように、心身ともにリラックスした状態で世界のマーケットに挑戦するATSUSHIを見たいです。ATSUSHI個人のプロジェクトとしてしっかりと設計をしながら、スケジュールなどがニュートラルな状態で組み立てていけると思うので、すごく楽しみです。今後さらにパワーアップしたATSUSHIのパフォーマンスを見たいですし、EXILEのメンバーも、そしてLDHとしても期待しています。

ーーこれから一人のアーティストとして活動するEXILE ATSUHI、そしてEXILEという屋台骨をけん引していくEXILE HIROが描く、EXILEへの思い。

HIRO:ATSUSHIの卒業の話を受けて、EXILE14人で音楽性や全体のイメージ、エンタテインメントの方向性を考え、すでに動いています。次の新しい楽曲はATSUSHIがいない 14人ならではのエンタテインメントになってきていますし、そういう新たな動きは、ATSUSHIも望んでいたことだと思います。新しいEXILEもすでに生まれ変わり始めています。また、ATSUSHI自身も今後、過去のEXILEの楽曲を歌い続けていくと思いますし、新しいアプローチもあると思うのでEXILEの演目の幅はどんどん広がっていると楽しみにしています。今までのEXILEの卒業の歴史を振り返ると、今回のATSUSHIの勇退で、今後より一層、いろいろなEXILEを見られるようになると強く確信しています。

ATSUSHI:僕が抜けた後の14人のEXILEのMVも少し観ましたが、14人らしいカッコ良さが出たものになっていました。EXILEは、日本の音楽業界の中では一生懸命全速力で走ってきたグループですし、EXILEらしさを構築してきたと思いますが、そういう意味では、今回のMVでしっかりと新たなEXILEらしさを感じることができました。

HIRO:EXILEは人ありきというか、集まった表現者たちによって新たなEXILEが創られていきました。その中でもATSUSHIの存在はすごく大きかったです。だからこそ今回卒業することで、全く違うEXILEが表現できるということはあります。ATSUSHIが観たMVは編集の途中ですが、それを観て安心してくれたのかなというのはすごく感じました。今まで継承してきたEXILEを、これからはAKIRAとTAKAHIROが先頭に立って引っ張っていきます。二人を中心に各メンバーが燃えていますが、すごく楽しみですし、誇らしくも思いました。僕らはよく「EXILE魂」という言葉を口にします。これは僕たちが大事にしている想いや信念の総称で、活動をする上での大事な指針になっています。僕らもATSUSHIも14人のEXILEも同じ「EXILE魂」を持つ人間ですので、活動形態は変わっても思いは同じです。

今後はお互いに、どんな新しいEXILEを表現するのか、またどう「EXILE道」を極めていくのか、これからもチーム一丸となり頑張っていきますので、今後ともよろしくお願い致します。