初めて聞く新しい政策分野「経済安全保障」とは? 自民党の8つの重点政策を検証【後編】

10月8日、国会で所信表明演説をする岸田首相(写真:つのだよしお/アフロ)

 6番目の「『毅然とした日本外交の展開』と『国防力』の強化で、日本を守る」については、首相は10月14日の会見で「基本的な憲法観、日米安保や自衛隊の役割といった基本的な安全保障観でさえ、方向性が一致していない野党各党に、この国を委ねることはできない」と語るなど強い姿勢を見せた。そして「重要なのは首脳間の率直な信頼関係」とし米国のバイデン大統領、豪州のモリソン首相、インドのモディ首相といったクワッドのパートナー、そして英国のジョンソン首相とも電話会談を行い「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、緊密に協力していくことを確認。また、厳しい安全保障環境に対応するため、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の改訂を指示し、関係閣僚間での議論をスタートさせた。各国の首脳との信頼関係においては戦後最長となる4年8カ月にわたり外相を務めた岸田首相ならではのものといえるだろう。
 
 7番目の「『教育』は国家の基本。人材力の強化、安全で安心な国、健康で豊かな地域社会を目指す。」は単なる人材育成のための教育政策にとどまるわけではなく、コロナ禍による社会のひずみが子供たちに押し寄せている現状を踏まえ、自殺者、児童虐待、不登校といった具体的な事例への対策に取り組んでいく。また子供ばかりではなく「リカレント教育(学び直し)」「若手研究者の処遇改善と活躍の場の確保」といった幅広い年代にも目を向けたものとなっている。

 8番目の「日本国憲法の改正を目指す。」については党の綱領にうたわれているもの。自民党は改正の条文イメージとして(1)自衛隊の明記、(2)緊急事態対応、(3)合区解消・地方公共団体、(4)教育充実の4項目を提示している。

 首相は総裁選で憲法改正の実現を目指すとした。憲法改正の国会発議には3分の2の議席が必要なのだが、首相は選挙で憲法改正に理解のある候補者の当選により3分の2の改憲勢力を目指す一方で、国会での丁寧な議論の中で多くの理解を得るという方向性も示している。

 この8分野のほかに首相は広島県選出の国会議員として、かねてから「核軍縮」を訴えている。核兵器問題については前政権から「核兵器禁止条約」に批准しなかったことがたびたび取り上げられているのだが、首相は外相として各国首脳と対峙する中で、核兵器保有国と非保有国の間にある溝を痛感。核保有国が参加していない条約の有効性や実現性への疑問も含め、リアリズムのあるアプローチでの核軍縮の道を探っていきたいとしている。

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