河瀨直美監督の東京五輪公式映画は別視点で2作品 森喜朗氏の会長交代劇も「記録すべきだと思った」

撮影・蔦野裕

 開催までに起きた“事件”の数々にもカメラを向けた。

 女性蔑視発言による森喜朗元首相の組織委員会会長辞任について「森会長の発言が、この国がいい意味で変わっていくきっかけになったのであれば、それはしっかりと記録に残すべきだと思った」と話し、オリンピック反対のデモについては「多様な意見があることは事実。(反対する人も)真摯にインタビューに答えてくれたものはしっかり描いていく。デモの参加者の中には撮られたくない人もいて、そういう方たちを撮ることもなかったし、映画にも登場しない」と語った。

 報道陣から、同作を製作中の河瀨監督を追ったNHKの番組で、反対デモにまつわる不確かな字幕がつけられていたことについて聞かれると「BPOの審議に入っていることもあり詳しいお話をこの場でするのは適さないのですが」と断りを入れつつ「私のスタッフたちがこの映画に取り組む姿を真摯にドキュメントしてくれていたと信じていたので、そこに事実ではないことが表現されていたことは残念でならないなと思っています」と話していた。

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