故坂本龍一さんが生前最後に手掛けていた舞台作品「TIME」が一周忌となる3月28日に上演スタート

「TIME」の1シーン

 なお上演にあたり、ヴィジュアル・デザイン + コンセプトを担当した高谷と出演の3人が主催者を通して以下のようにコメントしている。

高谷史郎
 1年前に坂本龍一さんの訃報を知らされたとき、衝撃を受けその現実が受け入れられませんでした。そして亡くなった日が奇しくも『TIME』東京公演の初日である3月28日だということに言葉を失いました。

 パルコさんから『TIME』を東京で上演したい、というオファーをいただいたとき、坂本さんも僕もとても嬉しかったし、とても楽しみにしていました。

人生も舞台も一期一会です。坂本龍一さんが遺してくださった素晴らしい音楽、哲学、この素晴らしい舞台に、多くの方が会いにきてくださいますように。

田中泯
 本公演が坂本龍一さんの命日と重なる奇遇、ご縁に身が引き締まる思いでおります。坂本さん高谷史郎さんとで練り上げられたこの舞台作品に登場する「人間」として私が選ばれたことは、この上ない喜びと思い、迷わず参加を引き受けたものでした。

 坂本さんより「初めて水を見る人類の一人を演じ作品の内にい続けて欲しい」と言われました。

 人間の諸元の姿、想い、営み、人類のたどってきた長くて短い歴史の明暗、その上で世界の現在。政治・経済に振り回される世界の現在。人間らしさや本当の人間を求めることはただのロマン・夢想なのでしょうか。本物を愛し欲求していた坂本さんの考える「水の循環」で成立する私たち自然・人間の営みと地球ならではの「時の機微」TIME。

 こんな作品の内に漂い佇む人でいることは、私にとってはオドリそのものだと思えたのでした。

 オランダ、台湾、と2つの国でも公演を経て、舞台は変化し続けている、と思います。日本の観容の眼前に、劇場の空間に身を晒し、坂本さんの魂に触れる夢中のひとときです。

 ご来場の皆様には、是非是非、心も身体も開いて、『TIME』をお楽しみ頂きたい、と願っております。