2024年ノーベル平和賞受賞の日本被団協の田中聰司氏と濱住治郎氏が講演で日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を要望。核抑止論の問題点も指摘

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 自身については1歳5カ月で被爆、妹は胎内被爆したこと、大学に進学し東京に来た際に被爆者ということでの差別を受けたことからしばらくは被爆したことを隠して生活するようになったこと、50代に差し掛かったころの食道がんを皮切りに喉頭がん、口腔がんを発症したことなどを明かした。現在は6つのがんを治療中。医者からは「放射能の影響のがん」との診断を受け、被爆から60年経って原爆症だと分かったという経験談を語った。

 そして被団協を知るきっかけから、その歴史や活動、創設者の故・藤居平一氏の功績などを紹介した。藤居氏も早大卒だったことから第4回原水爆禁止世界大会は早大の記念会堂で行われたという。藤居氏の功績を語る中で、戦後も核実験などで増え続ける被爆者の救済のために日本だけではなく「世界被団協」の設立を訴えていたことを紹介した。

 また日本は核兵器禁止条約に署名・批准していないのだが、田中氏は「この禁止条約にそっぽを向いている日本政府には非常に悲しい思いをしている。私たちは日本政府に核兵器禁止条約に早く参加しましょう、そして核保有国を誘導しましょうということを要請しているところ。そして、今の最優先課題は、核保有国を1ミリでも動かすこと」と日本政府に訴えた。