2024年ノーベル平和賞受賞の日本被団協の田中聰司氏と濱住治郎氏が講演で日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を要望。核抑止論の問題点も指摘

4氏でパネルディスカッション

「ノーベル平和賞受賞、その先へ ヒバクシャとつなぐ世界人類の未来」と題されたパネルディスカッションでは田中氏は「若い人たちが中心になって、こういう課題に取り組んでいかないといけない。頼もしい、期待したい」と高垣氏に期待を込めた。高垣氏は今年、早稲田大学を卒業した世代。

 ここでも田中氏は核保有国や同盟国が核兵器禁止条約に署名・批准していないことに「核兵器をなくしてほしいという被爆者の思いからすると絶対に許せないこと」と憤りながらも、自身らの活動を通じて世界に、まずは足元の日本政府に訴えかけていくことの必要性を改めて口にした。

 また「“核兵器を持たなければ安全ではない”というのが核抑止論だとすれば、みんな核兵器を持たなければいけない。ロシアに攻め続けられているウクライナは核兵器を持たなければ戦争に勝てない。核兵器を持っている国にやられっぱなしになる。核抑止で安全になるでしょうか? 核兵器禁止条約は核兵器をなくすゴールではなく入り口。相対的に核兵器を削減していって、何年か後に無くす。実質的にはこの条約しかない」と核抑止論の問題点を指摘し、核廃絶の重要性を説いた。

 濱住氏は「日本は唯一の被爆国なのだから、世界のリーダー的な存在になって核の廃絶を進めてほしい。それが被爆者の最初からの願いだが、アメリカは核を持ち続け、日本もそれを抑止力としている。ずっと来ているこの構造を変えない限りは今の状況が続くだろうと思う。ですから私たちが今、これだけ不安の時代に生きている中で、核兵器、広島・長崎の原爆が何を人間にもたらしてきたのかということを、もう一度皆さんに考えてほしいと思う」と今後の日本の役割について語った。