2024年ノーベル平和賞受賞の日本被団協の田中聰司氏と濱住治郎氏が講演で日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を要望。核抑止論の問題点も指摘

参院選で話題となったテーマについて高垣氏が解説

 最後に高垣氏は「幸いにも日本に住んでいれば戦争や核の被害を受けずにすんでいる。でもそういう中だと、あまり想像が行き届かない。机上の勉強も大切だが現場に行くとか、こういうふうに一番実情を知っている方たちの声を聞くということを大事にしなくてはいけないと思う。それは若い世代だけではなく。いろいろな視点でいろいろな方たちと議論し合うということをこれからも続けていきたい。大学にもそういう時間を作っていただきたい」と若い世代からの意見を述べた。

 田中氏は「政治家の無責任、私たちの運動の不足もあったが、核兵器を発明して開発した科学者の責任も大きい。科学者たち、物理学者たちが核兵器の悪影響をどうしたらなくせるのか。社会学者たちは、この核に依存した社会構造をどうやって変えていくかという科学的な研究を推し進めなければいけない。被爆者が訴えるだけではダメ。いろいろな人が何ができるか考えていかないとダメ。そういうことが考えられる人間になるところから、私たちは出発する。知恵を絞って核に依存する社会構造をどう変えるかを考えていくことが必要」、濱住氏は「核兵器禁止条約に日本が署名・批准するように持っていくにはどうしたらいいか。今月21日に外務省あてに署名を提出する。さらに海外でも集会を開く運動を進めている。 私たちは禁止条約の先にまだ廃絶条約があると思っている。核兵器は被爆者のようになくさなければいけない。その先まで見越しながら、一歩一歩できるところを進めていく。一人一人が核兵器について原爆について考えていただくということからスタートできるのではないかと考えている」と聴衆へメッセージを贈った。

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