スノーボード パラレル大回転 『軌跡』【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
撮影/文章:西村尚己(2019年3月5日 第29回 ユニバーシアード冬季競技大会)
スノーボードのアルペン競技の一つ、パラレル大回転。
青色と赤色に分かれた旗門のコースを2人の選手がそれぞれ同時に滑走しスピードを争う競技だ。

激しいターンを繰り返しながら急斜面を滑走し、0.01秒を争う極限の戦いが繰り広げられる。
その戦いの激しさを象徴するのが、滑走した後にできる軌跡(シュプール)だ。

1組目の2人の選手が滑走すると雪面をえぐるようにして出来た鋭い軌跡が2本、そこに刻み込まれる。
エントリーした数十人の選手が次から次へと滑走すると、それぞれ異なった軌跡が幾重にも重なっていく。

真っさらだった雪面は、いつしか針で激しく引っ掻かかれたように傷だらけになる。
そして競技も終盤に差し掛かり太陽が西に沈みかけたその時、思い掛けず美しい光景が現れた。

西日が逆光気味に雪面を照らすと、まるであぶりだしのように見事な曲線美が浮かび上がったのだ。

選手たちの血と汗の結晶。

私は高ぶる気持ちを抑えながら、その尊い光景をカメラに収めた。

【カメラマンプロフィル】
撮影:西村尚己
1969年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。
人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。
大学卒業後は、国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも、どうしてもプロの世界で挑戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。
現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じとれる作品づくりに励む。
2007年 APAアワード写真作品部門 奨励賞
2013年、2015年 写真新世紀 佳作 ほか
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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