コロナ下のイエナカ消費動向、今後の流れはどうなる?

話題のラベルレス商品

 昨年からのコロナ下で、家で過ごす時間(イエナカ時間)が増えたという人は多いのではないだろうか。シェアリングエコノミーの家事代行マッチングプラットフォーム「タスカジ」を運営する、株式会社タスカジが昨年5月に出した調査リリースによると、イエナカ時間が増えたと回答した人は実に9割を超えていた。当然だが、生活の変化は消費行動にも直結する。そこで、今回はイエナカ時間の増加に伴い変化した消費行動(イエナカ消費)について、飲料市場で起きたことを例に見ながら、今後、どういったサービス・商品が求められるのかを紹介。


 昨年3月の緊急事態宣言以降、飲料市場で販売が上昇したのは、「大容量」タイプだった。それまで「大容量」の販売は緩やかに減速していたが、イエナカ時間の増加により家庭内消費量が増えたことに加え、買い物回数を減らしたいというニーズから、容量の大きな商品へと消費が傾いたと考えられる。


 また「希釈・濃縮飲料」も伸張した。アサヒ飲料の「カルピス」(希釈用)は、昨年の販売実績で統計開始以来過去最高の売り上げとなり、サントリー食品インターナショナルの「ボス カフェベース」「やさしい麦茶濃縮タイプ(缶)」といった濃縮飲料も、前年に対して4割以上の伸張を見せた。これらは、家庭内消費の増加の影響に加え、「軽さ・コンパクトさ」という特長が、「まとめて買い物を済ませたい」というニーズにマッチしたと考えられる。



 


 そして最後に、昨年の飲料市場で話題となった「ラベルレス」商品だ。2020年以前から販売されていたが、イエナカ時間の増加に伴い発生した「家庭ゴミ増加」「家事負担増加」を背景に、「ラベルが無い」、「ラベルを剥がす手間が省ける」という利点が改めて評価され、消費が急増した。


 このように、突如訪れたイエナカ時間の増加という生活変化に対し、昨年は、目の前にある商品・サービスの中で、生活者が自分たちで考え、買い方を工夫することで対応していったが、商品やサービスを提供する企業も、こういった顕在化するニーズに対応する商品・サービスを、続々と展開する構えだ。


 ただ、一方で、このような生活環境が続く中、「いかに生活を充実させるか」という前向きなニーズも高まると思われる。飲料市場では、2月にサントリー食品インターナショナルから、カフェショップで楽しむカフェラテのような味わいが家庭でも楽しめる「クラフトボス ポケットラテ」が発売され、AGFからは、たっぷりの量が作れて、好みの味わいをバリエーション豊かに楽しめるスティックタイプ飲料「「ブレンディ」ザリットル」が発売された。こういった新商品・サービスからも、今後のイエナカ消費でキーになるのは、「いかに生活を充実させるか」という点だと考えられる。


 生きていく上で、今よりも向上した何かを求めるのは世の常だ。先行きはまだ見通せないが、企業各社も今後新たに「生活の充実」に向けた新提案を続けていくのではないかと思われる。