中村勘九郎と七之助、コロナ禍の巡業公演「お客様を前に胸に迫るものが…」「役者も人間ですから」

 歌舞伎俳優の中村勘九郎と中村七之助が18日、「中村勘九郎 中村七之助 錦秋特別公演2021」リモート取材会に登場した。

「錦秋特別公演2021」リモート取材会に登場した中村勘九郎

 勘九郎、七之助を中心に中村屋一門が毎年行う全国巡業公演「錦秋特別公演」。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でやむなく中止され、今年3〜4月の「春暁特別公演」では中村勘太郎と中村長三郎が初参加して全国5カ所で開催された。

 勘九郎は「歌舞伎を新規で見てくださる方を増やしていくために、普段歌舞伎公演が行われない土地に自ら出向いて見ていただく試みをしています。2005年から続けていますけれども、いまだに初めて歌舞伎を見る方に手を挙げてもらうと、けっこうな数が挙がるのでまだまだ普及されていないんだなと思います。ずっと続けていきたい公演ですし、中村屋一門にとりましても大切な公演のひとつ」。

 七之助は「(コロナ禍で)現地の方とのふれあいが少なくなってしまったのが残念ではあるんですけど、歌舞伎を見たことのないお客様に歌舞伎のことを少しでも伝えられたらうれしいなと思います。終わったあとに現地のおいしい食事や名物を食べに行くことも楽しみで、今の状況下でそれはできないですけれども、現地の空気だったりそういったものを感じて帰れれば」と思いを語った。

 今回の演目について、勘九郎は「(中村鶴松に)何をやりたいか聞いた時に彼が『浦島をやってみたい』と言っていたので採用しました。『浦島』という踊りはストーリー性も分かりやすいですし、曲調もとても華やかですし、二枚扇を使った目にも楽しい踊りですので、初めて歌舞伎をご覧になる方にとても見やすい演目じゃないかと思います。うちの父が私の踊る『浦島』を気に入ってくれていたので、それを鶴松に伝えられたら」、七之助は「甦(よみがえる)大宝春日龍神」について「平成26年に春日大社の奉納舞踊として兄弟で踊らせてもらいました。最初はお芝居仕立てで、最後は荒々しい龍神、龍女の踊りとそれぞれ違った雰囲気を楽しんでいただける」とPR。

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