「暗い・怖い・汚い」を払拭。池袋北口の公衆トイレ「ウイトピア」が美術作家・植田志保氏の手で再生

31日夜にひかりの羽が点灯

 植田氏は「ウイロードの再生プロジェクトを2019年に担当させていただいた縁で、このトイレの再生に携わることとなった。ウイロードの再生にあたり“公開制作”という手法を取って進めていた。そうすることで、1日に3万~4万人いるウイロードを通られる方々とも交流ができた。トイレをきれいにするのはもちろんだが、そういった街の人々との出会いやご縁といった絆をここで表現したいという思いがあった。屋上に5つの羽を生やしたんですが、それは染めたロープで編んで作った。これも街の皆さんと一緒に編んだんですが、そういった絆やつながりを編むことで温度を持って表現したいなと思い、このオブジェを作った」などとそのコンセプトを語った。

 内部の造形については「トイレの内部に漆喰を使っているが、これはウイロードの壁面にも使用したもの。天窓がエントランスと男子トイレ、女子トイレにあるが、これはもともとウイトピアの躯体の構造にあったもの。天窓があるトイレってチャームポイントだと思ったので、これを最大限生かせるようなデザインにした。明るく、さらに描画をすることで日中はぐるりと影が落ちてくるようなデザインになっている。オブジェのもともとの着想のもとになったのは池袋に古くからある『ふくろ祭り』。見たら元気になるあの感動を表したいと思い、『ふくろ祭り』で毎年披露されるおみこしの上にある鳳凰や街のエネルギーに感謝を込めて所々に真鍮(しんちゅう)を使っている」などと説明した。