天野喜孝氏プロデュースの三味線、赤いくノ一「シャウラ」世界へ

天野喜孝氏デザインの「シャウラ」

 ファイナルファンタジーのデザインなどを手掛ける世界的イラストレーター・天野喜孝氏が小松屋とコラボし、オリジナルキャラクターをデザインした三味線をプロデュースした。

 小松屋は三味線の卸・製造・修理を行う三味線メーカーで、小松英雄社長は、今回のコラボをきっかけに、日本のみならず世界に三味線の魅力を伝えたいと言う。

 三味線の販売台数は年々減っており、50年前に比べ国内産は1/10に、全体でも1/5にまで減少。しかも演奏者の平均年齢も70歳以上のため、今後も減少する事が予想される。

 その原因として小松氏は、本体の高さ、メンテナンス費の高さ、学ぶ・体験できる場所がない事をあげる。

 それを解決すべく同社が取り組んだのは、破れにくい三味線用人工皮リプルの開発だ。皮が破れにくいという事は、前述した問題点の中の「メンテナンス費」を削減する事が可能となる。構想、研究に10年の歳月を費やし、3年前に製品化されたリプルは、本皮と遜色のない音色を実現。日本音響研究所における音響調査においても、それが証明された。

 リプルの優れたところは、音色と破れにくさのほか、皮の表面にプリントが出来るという点。小松氏は芸術品としての三味線を作るべく、天野氏にプロデュースを依頼。その熱意に打たれた天野氏が快諾し「天野三味線プロジェクト」がスタートした。

津軽三味線奏者・高崎将充氏(左)、小松屋代表取締役・小松英雄氏

 今回発表したものは、皮の部分にオリジナルキャラクターが描かれた「シャウラ」。シャウラの意味はサソリ座のラムダ星。天野氏は“三味線はフォルムが女性的”という発想から、日本の赤をまとった忍者、赤いくノ一をイメージ。赤いドレスをまとわせ、動きのあるカッコいいキャラクター「シャウラ」を誕生させた。

 また、11月にはイギリスで開催される最大級のジャパンフェス「Hyper Japan」に出展も決定。日本のみならず、アジアや世界中に同製品をPRしていくという。

 さらに、コラボ三味線第2弾も決定。天野氏も参画し、日本の有名クリエイターが「和」をテーマに世界に向かって創り上げるプロジェクト「GIBIATE」とのコラボも実施予定だ。
 
 三味線が海を越え、伝統と革新の中で新たなファンを獲得する事に期待したい。