猫も歯磨き! ペットの歯周病予備軍約8割。習慣づけたい猫の口腔ケアのコツ

歯ブラシ嫌いにならないよう徐々に慣れさせる

 セミナーでは、レベル1「歯磨きを何もしていない」場合から、レベル4「歯ブラシを使って歯を磨くことができる」場合まで、段階ごとのコツを紹介。


 まず最初の準備として「万が一引っかかれても大丈夫なように伸びた爪は切っておく」。「そのペットが好きなタオルやブランケットなどで前足をカバーするようにくるみ、安心させてあげる」。そして「猫が近寄ってきたときなど、猫の状況を優先する」ことを心がける。


 レベル1「歯みがきを何もしていない」場合は、まず猫の好きな姿勢で抱っこしながら口まわりを触れるようにする。このとき、真正面から対面して口を触ろうとすると不安を感じやすいので、後ろから抱きかかえる姿勢がおすすめ。


 レベル2の「口は触れるが指が中に入らない」場合は、猫の好きなエサの汁などを指につけなめさせ、口の中に指を入れられることに徐々に抵抗感をなくしていく。いきなり歯磨きジェルを使うより、普段から慣れている好物のほうが抵抗感は少ない。慣れてきたら歯磨きジェルで同様に触ってみる。ただし、触りすぎて嫌がらせないように。


 レベル3「口に指を入れられる」のであれば、犬歯を触ってみたり、徐々に少し奥に指を入れてみる。慣れてきたら指サックや歯みがきシートなどで優しく磨いてあげる。人間の歯磨きの感覚でこすると猫には強すぎて、エナメル質を傷つける場合もあるので注意。


 レベル4「歯ブラシを使いたい人」は、ペット用歯ブラシにジェルなどをつけて磨いてみる。最初は歯の外側から始め、慣れたら内側も磨く。柔らかい毛で、そのペットに合ったサイズのものを使うこと。また、最初はどの角度でも磨きやすい360度、毛になっているタイプのものもおすすめ。大切なのは、歯ブラシが怖くないと認識させること。


 唾液を出やすくし口内環境を整えるマッサージなどもよい。この日は、かまくらげんき動物病院の石野孝院長による猫のだ液マッサージ動画も紹介。石野院長も「何カ月もかけるつもりで、徐々に慣れさせて」とアドバイス。


 注意したいのは、歯磨きに慣れさせる際に猫を嫌がらせないこと。抑え込んだり、最初から何分も磨こうとせず、始めは数秒でも触れればいいくらいの感覚で。最初から無理にやってしまうと歯ブラシを見ただけで怖がるようになってしまうので気を付けて。


 また、どうしても歯磨きが難しそうな場合は、だ液を出しやすくなるマッサージを行ったり、固めのエサを与えて普段からよく噛ませることを意識する。また、歯周環境を整えるサプリで、普段のエサに振りかける粉末タイプや飲み水に入れるリキッドタイプなどのケア用品もあるので、そういったケアアイテムを活用するのもよい。


「猫は犬と違って口を閉じていることが多いので、発見が遅くなりやすいのです。また、人間と同じく寿命が延びたこともあって歯周病になるペットも増えています。歯周病から大きな病気につながる問題も指摘されているので、日ごろのケアや、獣医での定期的なチェックを心がけたいですね」と赤津さん。


 2月22日は“猫の日”。この機会に飼い猫の歯周環境を意識し、まずはコミュニケーションの一環のつもりで、口腔ケアを始めてみては。