コツメカワウソの安易なペット化に警鐘 上野動物園で「コツメカワウソのウラのカオ」

 10月4日は動物愛護や動物保護を目的に定められた「世界動物の日」。東京都台東区の上野動物園では4日、来園者向けイベント「飼育員さんだけが知ってるコツメカワウソのウラのカオ@上野動物園」が開催された。イベントを前に、同園スタッフと公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(以下、WWF ジャパン)による日本の野生動物の“ペット化”の現状と、そこに潜むリスクについての説明会が行われた。

野生動物のペット利用で危機にさらされる「コツメカワウソ」

 WWF ジャパンの浅川陽子さんは日本がサル、フクロウ、トカゲといった野生動物がペットとして取引される市場を保有していることを紹介。「ペットショップ、ペットフェア、アニマルカフェといったものが各地に存在し、野生動物のペット利用が非常に身近になっています。ペット利用される野生動物の輸入頭数やイヌ・ネコ以外の動物販売業の営業所数は増加傾向にあり、2021年には推定40万頭の野生動物が輸入されている状況」と警鐘を鳴らす。

 野生動物の需要の拡大によって危機にさらされている動物の代表例が「コツメカワウソ」だ。「コツメカワウソ」は体長36~47cm、体重2.4~3.8kg。東南アジアや南アジアの水辺に群れで暮らす。2007年頃からメディアで取り上げられて人気が高まり、2017年頃をピークに需要が拡大。当時は条件を満たせば輸入が可能だったが、規制を守らず密猟・密輸といった事件が急増し、絶滅のおそれが高まったことから2019年、ワシントン条約で国際取引が原則禁止となっている。

 先月29日には、カワウソと暮らす生活の動画などをインスタグラムに投稿していた女が、動物愛護法違反(虐待)容疑で書類送検された。女は自宅マンション一室で、ペットのコツメカワウソ2匹を紙製の棒で叩いたり追い回したりした疑いが持たれていた。

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