岸井ゆきの主演作が海外映画祭で絶賛「いろんな言語の感想を自分で必死に翻訳して読んだ」

 

『ケイコ 目を澄ませて』完成披露試写会が7日、都内にて行われ、主演・岸井ゆきの、共演の三浦友和、三宅唱監督が登壇。実在のプロボクサーをモデルにした主人公を演じた岸井が役作りを振り返った。

 聴覚障害と向き合いながらリングに立ったプロボクサー小笠原恵子にインスパイアされ『きみの鳥はうたえる』の三宅唱監督が新たに生み出した物語。

 本年2月に開催された第72回ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門に出品され高く評価。主人公ケイコ役の岸井は海外での絶賛評について「いろいろな言語でのコメントを自分で必死に翻訳して読んでいると、ケイコの日常を描いた小さな物語から、たくさんの感想を頂いているんだなと感じました。この景色を知っている日本の皆さんがどう感じるか楽しみ」と笑顔。

 聴覚障害のあるプロボクサーでありながら等身大の女性を表現するという難しい役どころに岸井は「最初は不安でした」と振り返りつつ、3カ月におよぶボクシングのトレーニングを経て「ネガティブな気持ちは全く無くなっていきました」と晴れやかな表情。

 そんな岸井にジムの会長役・三浦も「クランクインの日、ジムの中で彼女を見たら仕上がっていたんですよ。大抵、ボクシング映画だと撮り方でごまかす部分も多いのですが、それがまったくなくて。引きの画でも(全身を映しても)大丈夫という力量まで行っていた。ケイコがそこにいたので、ただ見ていればいいんだ、と。とても楽でしたよ。これはあなたの努力のおかげです(笑)」と岸井を称賛。

 岸井も「私は余裕がなくてケイコに埋没している状態で。本来なら友和さんがいらっしゃったら挨拶に行かないといけないんですけど、動けない。そういうことも許してくれた。私にとっての友和さんは、ケイコにとっての会長と同じでした」と三浦に感謝のまなざしを向けた。

 そんな岸井は、ケイコという人物像について「台本を頂く前にトレーニングを始め、その中で先入観なく作っていけた」と語り「ケイコがボクシングを続けていることに理由付けをする必要がなかった。なぜ俳優を続けているんですかというのを一つの言葉で説明できないのと同じ」と、まさに一体化した役作りを語っていた。

『ケイコ 目を澄ませて』は12月16日より公開。

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