映画『福田村事件』の森達也監督「“なんで日本映画はここまでダメになってしまったのか?”という思いが俳優の皆さんにあったのかなと思う」

森達也監督

 そして作品が日本ではタブーとされる内容を扱っていることから「キャスティングにかかる前にプロデューサたちと打ち合わせしながら“ところで、これって誰が出るの?”という話になった。井浦さんはなんとなく内定的な感じがあったんだけど。“東出さんも出たいと言っている”みたいなことを聞いて、じゃあ2人だけかなとか思っていた。でもイメージキャストをして、打診していったら、スケジュール的に無理だった人を除けば、皆さんほぼ即答してくれてビックリした。オーディションも1000人以上の方が応募してくれて、コメント欄に“こういう映画を待っていた”みたいなことを書いてくれる人がとても多かった。始める前は、これはどう考えても反日映画と批判され、上映中止運動が起きて、劇場もどこも扱ってくれないみたいな、そういうことになったら俳優には何のメリットもない、と危惧していたが、少なくとも俳優の皆さんには“やっぱりこういう状況はおかしい”“なんで日本映画はここまでダメになってしまったのか?”という思いがあったのかなと今、思っています」と明かした。