デザイン界の巨匠、アルネ・ヤコブセンの傑作|知っておきたい名作家具(1) アリンコチェアとセブンチェア

©flickr/Naoya Fujii. title:Ant Chair 3 Legs

■重ねても美しいスタッキングチェアの傑作『アリンコチェア』

 20世紀のデザイン界に多大な影響を与えたデンマークの建築家兼デザイナー、アルネ・ヤコブセン。そんなデザイン界の巨匠と、『Fritz Hansen』との最初のコラボレーションは1934年に遡ります。

 1952年にはアントチェア(アリンコチェア)、1955年にはセブンチェアと、世界中のインテリア・ファンに絶大な人気を誇る名作家具が巨匠デザイナーの手によって次々と誕生したのです。

 上の『Fritz Hansen』ホームページ画像の中央にある椅子と、下の写真の椅子がアントチェア(アリンコチェア)です。アントチェアは絞った腰のラインと細長い脚がアリをイメージさせることから、アリンコ(蟻)チェアの愛称で世界的に親しまれています。

 アルネ・ヤコブセンの代表作のひとつとして知られるアリンコチェアは、最初は自身が建築した製薬会社の社員食堂のなかで使うようにとデザインした椅子だそうです。

 ヤコブセンは丸いテーブルの中にできるだけ椅子を多く並べられるようにと、前に1本、後ろは2本の3本脚に設計してその椅子をつくり上げました。現在ではホームページ画像に映る4本脚のアントチェアも生産されています。

 この椅子は彼が手がけた最初の成形合板のスタッキングチェア※として、今日でも『Fritz Hansen』を代表するアイコンのひとつです。

※スタッキングチェア…積み重ねることができる椅子(いす)。小さなスペースに収納でき、運搬に便利。