坂上忍、盛岡市の葉たばこ買い入れ現場で一喜一憂「自分は関係ないのにドキドキする」

葉たばこの鑑定を終えた府金さん(右)に坂上が直撃インタビュー

プロボディボーダーから農家を継いでがぜん面白く

 買い入れを見学し終えた坂上が「自分は関係ないんですけどドキドキするものですね。途中までずっとAランクだったので “これはもしかしてパーフェクト行くんじゃないか” とか、作業が止められると “えっ?” みたいな。2人の鑑定員、さらにたばこ耕作組合の方がいて、相談しながら格付けしているのがよくできたシステムだなと思いました」と感想を述べると、府金さんも「今年は夏が暑くて大変でしたけど、全部売れたのでとりあえずよかったです。葉たばこを捨てるかどうかは買い入れの場で判断されます。品質がいいものとあまりよくないものがありましたが、大体予想通りに売れました」とホッとした表情。

 さらに坂上が「Bになった梱包の原因は分かるのか聞いたんですけど、“収穫したほうがいい日に人手が足りなくて、1~2日ずれただけで変わってしまった” ということを教えてくださった。等級の境目は、鑑定員の方たちとの共通認識として持っているんだなと感じました」というと「品質のいい葉たばこを出したいのはもちろんですが、自分でも “Bという格付けをされても仕方がない” という側面があるので見て判断してもらうしかない。品質がいいという自信があってBと言われたら “ちょっと待ってください” と言いますけど、そこは鑑定員の判断に従います」と府金さん。

買い入れが終わると鑑定員から葉たばこ農家に来年に向けたアドバイスも

 坂上も「買い入れが終わった後に鑑定員の方から説明がありましたけど、そこに来年に向けてのヒントもある。流れ作業ではなく、ちゃんと話し合って終わるところがすごく大事だと思いました」と納得。最後にどんな言葉をかけられたのか聞くと、府金さんは「中葉や合葉の熟度(熟し具合)や色上がりはよかったけど、鑑定で協議に時間のかかった上葉や本葉のあたりは “あと何日か収穫が早ければ” と言われました。自分が考えていることと大体合っていましたね」と冷静に受け止めていた。

 今年の作柄を「5月に畑に移植した直後に霜が降り、葉が焼けてしまうところから始まりましたが、諦めずに栽培しているうちに葉たばこがだんだん持ち直してきて。ただ、最初の水やりを1回しかできなかったので、もう少し水やりしていれば重量にも反映されたと思います」と振り返り「作業をしていて “このへんでいいかな” と思う魔の瞬間があるんですよ(笑)。そういうのは作柄にも影響します」という府金さんに、坂上も「人間だから誰だって魔が差すことはあるじゃないですか。そういうのが正直に作物に出るのって、やっぱり怖いですよね」とうなずいた。

最後に格付けに基づいた計算書が渡され、今年の葉たばこの売買が成立する

 曽祖父の代からの葉たばこ農家で「小さい頃から “お前は農家の跡取りだ” と言われて育ちました」という府金さんは「一度サラリーマンをやった後 “いずれは農家を継ぐのだから” と思って会社を辞め、自分がどこまでできるんだろうと思って、何年かボディボードだけの生活をしたんです」という異色の経歴の持ち主。

「“そろそろ” という時に実家に戻って畑を手伝いながら、しばらくボディボードのプロと両立した後に継がせてもらいました。それから経営と栽培に全面的に関わるようになり、農家としてがぜん面白くなってきた。自分がもし誰かから “今と同じように仕事をやりなさい” と言われたら確実にブラックなんですよ(笑)。だけど、朝早く起きたり夜遅くまで働いたり、日が沈んでいるのに気になって畑に行ったり、そういうのって好きだからやっているので」(府金さん)

葉たばこ農家の一年の収入が決まる格付け。鑑定員とたばこ耕作組合の代表者の表情は真剣そのもの

 そこまで熱中できる背景には、生産された葉たばこは原料として使用できないものを除いて全量買い入れられるという仕組みも大きい。「例えば ”原料葉たばことして使用できない” と自分で判断して捨ててもいいのですが、捨てることはいつでもできる。きちんと詰めて一包にすると今日は買われたわけです。買い入れの現場では誰も噓を言わないし、だまそうともしていないから、“来年一年、また最初からやり直すぞ” と真摯に受け止めて行動すればいい」と前向きな府金さん。

 坂上も「かたわらに自分のおじいちゃんくらいの年の人もいるわけですから、格付けするほうもプレッシャーですよね。でも、Bの時はちゃんと “すみません” という顔をしてましたね(笑)」と小さく笑った。