フィギュア経験者ライターが見た! アイスショー「氷艶 hyoen」がすごいわけ

孤独な貴公子・光源氏を演じた髙橋大輔 ⓒ氷艶2019
ジャンルを超えたエンターテインメント

 数あるアイスショーの中でも、個性的な演出で一線を画す「氷艶 hyoen」シリーズ。その秘密は、まず表現の幅広さにある。トップスケーターが織りなす優美なスケーティングは、平安貴族の華麗さそのもの。鬼気迫る疾走シーンの流れるようなスピードや、ドラマティックなスケーティングは、氷上の舞台・フィギュアスケートならではだ。荒川静香のイナバウアーや、ユリア・リプニツカヤのキャンドルスピンなど、おなじみの技の数々に、スポーツ競技としての魅力も凝縮されている。

 筆者はかつてフィギュア競技者であったが、競技中の選手たちは、1g単位で衣装の軽量化を図る。今作に登場する十二単などの重い衣装を身にまとっての演技は、想像を絶するが、それを感じさせない高いクオリティーとみやびな舞に、スケーターたちの実力と作品にかける根気を感じた。