巨匠ヴィム・ヴェンダース最新作は“東京のトイレ”が舞台!主演・役所広司「この企画を断る俳優はいない」

 

『パリ、テキサス』や『ベルリン・天使の詩』などで知られる世界的巨匠ヴィム・ヴェンダース監督は、柳井氏らからのオファーを快諾したと明かしつつ「最初に企画を聞いたときは“何?トイレ? チョットマッテ”と思いましたが(笑)、そこから魔法のように展開していきました。自分が敬愛する安藤忠雄さんをはじめとする建築家たちが関わっていること、社会的に意義のあるプロジェクトということ、そして役所広司さんと自由に物語をつづることが出来ると聞いて、自分の中でもどんどんイメージがふくらんでいきました」と意欲満々。

 主演・役所も「この企画でヴェンダース監督が東京で撮ると聞いて、断る俳優はいないと思う」と快諾したこと明かし「ヴェンダース監督監督の作品に自分が参加できるなんて、俳優になって40年、頑張ってこの業界にしがみついてきてよかった」と感激。

 すると、役所の出演作を数多く見ているというヴェンダース監督も「役所さんは特別なものを持っている俳優。自分がありながら、全く異なるどんな人物でも演じられる。私は基本的に、好きではない役者さんとは仕事ができないタイプ。なぜ自分がここまで役所さんを好きなのか知るためにも一緒に仕事がしたい」とゾッコン。これには役所も「今回の作品で監督に嫌われないように頑張りたいと思います」と照れながら意気込みを見せた。

 この日は、神宮前6丁目のトイレ「あまやどり」を担当した安藤忠雄氏も登壇。実はヴェンダース監督は安藤建築のファンで、1990年代に安藤氏の写真を撮影したことがあるとのこと。安藤氏が「この話を聞いたとき、おお、生きてたんやと思った」と再会を喜び、笑いをさそう一幕もあった。

 長谷部健渋谷区長も、すでに完成しているトイレへの反響を明かしつつ映画に期待。小池百合子東京都知事も「東京都としても映画の撮影がスムースに進むようしっかりサポートし、海外作品の撮影誘致も進めていきたい」とメッセージを寄せた。

 映画は現在シナリオハンティング中だが、役所演じる公共トイレの清掃員を主人公とした物語がつづられるとのこと。

 監督は「とても日本らしいアイデアのプロジェクトだと思う。トイレは性別や年齢、収入などによらず誰でも使うもの。トイレでは、すべての人が人類の1人になる。それが日本では無料で清潔に使えて、安心感も感じられる。ユートピアのよう。世界の他の都市も追いついてほしい」と話し、役所も「とても美しい物語になる気がしています」と期待を膨らませていた。

 この日の登壇者はヴィム・ヴェンダース(映画監督)、役所広司(俳優)、安藤忠雄(建築家)、長谷部健(渋谷区長)、柳井康治(プロジェクトオーナー)、高崎卓馬(クリエイティブディレクター)。